3月15日(木)に、平成29年度いわて鋳造研究会成果発表会を、水沢グランドホテルにて開催いたしました。
成果発表会では、この一年間の研究成果について各会員企業が報告、若手技術者を中心に活発な質疑応答や議論が行われました。
また、それに加えて今回は「話題提供」という形での発表も行われました。
発表内容 | 会員企業 | |
1. | ねずみ鋳鉄の薄肉化に関する研究 | ㈱水沢鋳工所 |
2. | 合金添加による硬度の安定化 | 岩手鋳機工業㈱ |
3. | 耐摩耗部材の材質検討 | 岩手製鉄㈱ |
4. | 片状黒鉛鋳鉄に及ぼす窒素の影響 | ㈱根岸工業所 |
5. | 有機CO2ガス鋳型造型条件の妥当性検証 | ㈲佐酉 |
6. | 鋳込み重量の計測による入干不良対策と生産計画の合理化 | ㈱及精鋳造所 |
7. | 社内不良 歩留り改善 | 東北三和金属㈱ |
8. | 国内産ベントナイトの特性評価 | ㈲及春鋳造所 |
9. | たたら製法によるケラを原材料にした鋳物試作の紹介 | 及源鋳造㈱ |
10. | 新しいデザインと機能性を両立した鉄瓶の製品開発 | ㈱及富 |
11. | 低RE(高La)球状化剤を用いたダクタイル鋳鉄の機械的性質とヒケ性の把握 | ㈱及泰 |
話題提供内容 | 会員企業 | |
1. | 話題提供 | ㈲筑摩水沢 |
2. | 自社での困りごと | ㈱シグマ製作所 |
発表後には、岩手大学の中澤友一特任教授に総評をしていただきました。
「今年度は品質管理や工程改善に係わる発表が複数あったが、鋳造の管理項目は多岐にわたり、『出湯温度は測っていても鋳込温度は測っていない』など、会社ごとにばらつきがあると思うので、他社の発表を聞くことで自社を見直すきっかけにしてほしい」と話されました。
また、「既に文献に出ている内容であっても、自社でそれを検証するということには意味があり、一緒に試験を行った社員と経験を共有することで、それが社員の成長にもつながるので、積極的に取り組んでほしい」と話されました。
特別講演会 | 講師 |
社会情勢を取り巻く鋳造関連の研究課題と取り組み | 小綿利憲氏 (国立大学法人岩手大学 特任教授) |
成果発表会の後は、当研究会技術顧問で岩手大学特任教授の小綿利憲氏による、特別講演会を開催しました。
小綿先生がこれまで取り組んでこられた研究の多くは、その時々の社会情勢と密接に関連したものです。
具体的には、社会情勢の変化によって、日本の鋳造業全体に悪影響が出ればそれの解消に役立つ研究、鋳造業に対して社会的要請があればそれに対応するための研究などです。
そこで、今回はそれらの中でも、以下の研究課題に関してご講演していただきました。
【課題①】自動車の軽量化・高強度化のための高マンガン鋼の研究
【課題②】原材料である鉄スクラップの品質変化対策としての材質改善の研究
【課題③】東日本大震災の被災自動車対策としての自動車リサイクル技術の研究
【課題④】希土類元素(レアアース)価格高騰対策としての脱希土類技術の研究
また、「社会情勢の変化というのは、同様の変化が何度も繰り返しやってくるものなので、過去のデータを残しておくことが重要である」と述べられました。
また、終了後には情報交流会を行い、成果発表や講演で聞けなかった話や意見を交換しながら、親睦を深めました。
今年度は、本研究会会員が日本鋳造工学会創立85周年特別功労賞、Castings of the Year賞を受賞するなど、本研究会にとって大変栄誉ある一年となりました。
来年度も、いわて鋳造研究会をよろしくお願いいたします。