TEL.0197-51-8666
〒023-0132 岩手県奥州市水沢羽田町字明正131
受託研究 経済産業省戦略的基盤技術高度化支援事業
「環境調和型高機能・高性能鋳造品の製造技術開発」
事業管理者 水沢鋳物工業協同組合
研究期間 平成18年~20年 委託費 122,252千円
本研究は、鋳鉄溶湯に対して希土類元素(RE)の添加や接種による溶湯処理を行いチル化防止の効果と材質を調べ、最適な溶湯処理技術の確立を図り、高機能・高性能鋳造品の製造技術を開発するものである。
また高マンガン(Mn)の鋳鉄に対してもREと硫黄(S)の併用添加により鋳鉄のチル化を抑え、高マンガン鋼屑のリサイクルに対応する製造技術も研究した。
このような観点から本プロジェクトでは、環境と調和した高機能・高性能鋳造品と高齢化社会における安全で利便性のある製品の開発のために、RE添加による岩手大学の高強度鋳鉄のシーズと高Mn鋼のリサイクル技術シーズを基に(1)磁気特性強化鋳鉄、(2)超強靭球状黒鉛鋳鉄、(3)超軽量厨房用南部鉄器、(4)超高強度・軽量片状黒鉛鋳鉄を対象に高強度、軽量化、高切削性を達成する新たな技術を開発した。
いわて鋳造研究会からは㈱及精鋳造所、㈱水沢鋳工所、及源鋳造㈱、㈱及泰が参加した。
①磁気特性強化鋳鉄の開発(㈱及精鋳造所、岩手大学)
②超強靭球状黒鉛鋳鉄の開発(㈱水沢鋳工所、岩手大学)
③超軽量薄肉片状黒鉛鋳鉄厨房用品の開発
(及源鋳造㈱、岩手大学、奥州市鋳物技術交流センター)
④超高強度・軽量片状黒鉛鋳鉄品の開発(㈱及泰、岩手大学)
「組織制御型高強度・高機能鋳鉄製自動車用部材の製造技術開発」
事業管理者 岩手大学
研究期間 平成21年~23年 委託費 97,000千円
自動車産業に携わる川下製造業者の抱える課題及び要請には、剛性、靭性の向上に資する鋳造技術の開発、高機能化、薄肉化を実現するための鋳造技術の開発がある。
本研究開発では、鋳鉄のチル化を防止するとともにA型からE型の黒鉛組織と基地組織中のフェライトとパーライトの割合を制御することによって「組織制御型高機能鋳鉄」を創出し、鋳鉄の高機能化、薄肉化の達成を目指した。
いわて鋳造研究会からは、㈱及精鋳造所、㈲前田鋳工所が研究開発に参加した。
①薄肉組織制御ウォーターポンプ用インペラーの研究開発
(㈱及精鋳造所、岩手大学、奥州市鋳物技術交流センター)
②高強度・耐摩耗組織制御プレス金型台座の開発
(㈲前田鋳工所、岩手大学、奥州市鋳物技術交流センター)
「機械加工屑のリサイクル活用による省資源型高強度薄肉鋳物の開発」
事業管理者 ㈱根岸工業所
研究期間 平成23年2月23日~平成23年12月31日 委託費 53,000千円
本研究開発は原価の低減と、高機能化・軽量化・省エネルギーの観点から機械加工屑のリサイクル活用と鋳鉄の高強度化技術との組み合わせにより「省資源型高強度薄肉鋳物」の製造技術の開発を目的とした。
本研究では鋳鉄鋳物の加工工程などで発生する機械加工屑(切り粉)を溶解工程でリサイクル活用し、鋳鉄の高強度化技術との組み合わせにより、産業機械・建築機械に加えて、建築物の長寿命化のため住宅設備からも強いニーズに応えられる高強度・薄肉の高機能鋳物の開発を目的とした。
このため、切り粉の再溶解技術の高度化を行い、高強度・快削性を備えた高Mn・高強度鋳物の製造技術を開発した。
①切り粉の再溶解技術
(㈱根岸工業所、岩手大学、奥州市鋳物技術交流センター)
②切り粉の再溶解技術に資する高Mn鋳鉄の高強度化事業
(㈱根岸工業所、岩手大学、奥州市鋳物技術交流センター)
「次世代硫黄フリー”バイオコークス”キュポラ溶解による低コスト鋳造法確立と高機能鋳鉄部材製造技術の開発」
事業管理者 岩手大学
研究期間 平成23年~25年 委託費 97,000千円
現在、キュポラ溶解には、主に中国産の石炭コークスを使用して溶湯を得ているが、硫黄含有量の多い粗悪品や価格高騰を背景に低コストへのニーズと、化石燃料消費に伴うCO₂排出については、地球環境問題から温室効果ガス削減への強いニーズがある。
本研究開発では、燃料により発生するCO₂は植物由来のためカーボンニュートラルにより排出量としてカウントされない優位性をもつ鋳鉄用バイオコークスの製造技術を開発し、さらにバイオコークスを用いたキュポラ溶解による低コスト鋳造法を確立し、硫黄フリーバイオコークスによる優れた溶湯性状を生かした片状黒鉛鋳鉄の薄肉・高強度化、耐摩耗性と切削性向上、コスト低減を実現する技術の高度化を図り、高度化ニーズが高い自動車や建設機械分野へ貢献する技術の開発を目的とする。
この研究開発では4サブテーマ毎の各課題の解決のため、バイオコークスを用いた新たな鋳造法の確立を行い、さらにバイオマス燃料キュポラ溶湯を用いて岩手大学の技術シーズを利用し、応用開発することにより各鋳鉄部材の製造技術の高度化を達成する。
これらにより鋳鉄の高強度化を保ちつつ、薄肉化、チル化防止、高強度化(耐摩耗性向上)を図り、世界初の次世代バイオ燃料をキュポラ溶解に利用した高強度・高機能性鋳鉄部材を開発する。
いわて鋳造研究会からは㈲及春鋳造所、㈱根岸工業所が本プロジェクトに参加している。
①バイオ燃料キュポラ溶湯による軽量高強度鋳鉄の開発(鋳鉄製厨房品の高度化)
(㈲及春鋳造所、岩手大学、奥州市鋳物技術交流センター)
②バイオ燃料キュポラ溶湯による高強度鋳鉄の開発(鋳鉄製ハブの高度化)
(㈱根岸工業所、岩手大学、奥州市鋳物技術交流センター)
受託研究 経済産業省地域イノベーション創出研究開発事業
「鋼Mn鋼板屑リサイクル技術を用いた自動車用高機能ライナの開発」
事業管理者 岩手大学
研究期間 平成20年~21年 委託費 121,000千円
この研究では自動車車体用鋼Mn鉄板スクラップを原料として、MnとSとの量比を制御することにより、JIS規格の約40%増の高強度と快削性を達成した高機能・高強度鋳鉄のニーズをもとに、高強度、快削性及び省エネニーズに対応した低燃費車用高機能シリンダライナの開発を目的とした。
本事業においては、岩手大学のMnとS比(Mn/S)を制御し、ごく一般的なCa-Si合金等で接種した高Mnねずみ鋳鉄のシーズを用いて、㈱水沢鋳工所と日本ピストンリング㈱において高Mn鋼板屑を積極的にリサイクルした高熱伝導性、高切削性、高強度、薄肉、低コストな高性能シリンダライナを開発した。
①高Mnねずみ鋳鉄の高強度化に関する研究(㈱水沢鋳工所、岩手大学)
②高Mnねずみ鋳鉄の薄肉化に関する研究(㈱水沢鋳工所、岩手大学)
科学技術振興機構 復興支援プログラム
「高付加価値鋳鉄製品の開発」
事業管理者 ㈲及春鋳造所
研究期間 平成24年 委託費 2,000千円
南部鉄器製品の生産構成は大きく分けて2つあり、1つは一般的(生型で作られる)な鉄瓶、急須であり、もう1つは焼型と呼ばれる(伝統工芸士等が作る)鉄瓶などである。
製品の大きな違いは生型での生産の場合、大量生産は可能であるが抜き勾配の関係や、中子の関係上、肉厚になる傾向があり平均的に重量が重くなる傾向がある。
また抜き勾配が原因で模様もくっきりとは出難い。
焼型は、一般的に伝統工芸士が一人、または二人等の家族での操業が多く少量生産が主であり大量受注への対応が困難である。
焼型の品質と生型の生産効率の特徴を活かしたシェル型を活用することにより、品質的に焼型に近く生産性が生型に近い高付加価値南部鉄器の開発を進める。
①シェル型を使用した鋳鉄の材質に及ぼすCa、Sr、Ba添加の効果確認では、メーカーの協力のもと、Ca、Sr、BaのみならずLa、Sr、Reといったものも同様の実験を行った。結果的にはLaを含有する接種剤が最も良好な結果を得ている。
工芸品を製造する鋳造工場では多くの場合、溶解量が少なく溶湯温度が機械鋳物製造工場と比較すると溶解温度が低く、接種剤の溶け込みの不良が懸念されるが、La-Siでは最終凝固の際に溶湯の噴出が見られた。これは工芸品の溶湯には黒鉛が多く含有しているが接種効果により黒鉛化促進効果があったものと考える。
薄肉軽量化を進めている機械鋳物企業でも今回の実験結果により薄肉化によるチル発生の抑制の参考になると考える。
②シェル型での冷却速度の影響確認では鋳鉄の組織や硬さは、鋳型の厚さに伴う冷却速度によって変化することから、ここでは、肉厚10mm、20mm、30mmに変化させたシェル型を用いて鋳鉄を作成して行った。
通常厚さ4mm程度の鉄器製品と比較すると実験での試作片は肉厚1mm、2mm、3mmと極めて薄く製作困難であった。
実際1mm厚のものでは湯回り不良が発生していた。今回の実験では平均肉厚2.5mm程度を想定していたので、湯流れ性の限界値を確認できたと考える。
また、シェル型の肉厚変及び試作片肉厚変化による組織変化、高度変化の傾向が確認できたと考える。
今回の可能性試験により、シェル型を使用した場合の南部鉄器(鋳鉄)の材質について、チルがないことを調べ、焼型の代替としてシェル型の可能性を確認出来たと考える。
ものづくり中小企業・小規模事業者試作開発等支援事業
「鋳造用アルミ合金の溶湯処理技術強化による高品質自動車部品の試作開発」
㈲前田合金鋳造所
「多軸工作機械による短納期及び精度保証」
㈱水沢鋳工所
「カラフル全面ホーロー処理厨房用南部鉄器の試作開発」
㈲及春鋳造所
「高効率ドラムクーラー導入による鋳造品の生産性向上と不良率低減」
㈱シグマ製作所
「熱風装置付加キュポラ溶解による高強度鋳鉄の生産プロセス強化」
㈱及精鋳造所
「鋳造設備強化による低価格・高性能鋳鉄鋳物製品製造事業」
㈱根岸工業所