本研究会会員で、有限会社及春鋳造所の及川春樹取締役専務が、9月26日に社会人入学していた岩手大学より工学博士の学位を取得されました。
これはいわて鋳造研究会、水沢鋳物工業協同組合としても初めてのことであり、当鋳物産地としても大変光栄なことです。
同氏のご努力と栄誉を称えるとともに今後のご活躍を祈念して、10月19日(水)には水沢鋳物工業協同組合との共催で、記念講演会・祝賀会を開催いたしました。
記念講演会 | |
ホーロー処理した鋳鉄の泡欠陥対策に関する研究 | 及川春樹氏(有限会社及春鋳造所 取締役専務) |
記念講演会では、岩手大学の堀江皓客員教授より学位の解説をしていただいた後、及川氏に学位論文「ホーロー処理した鋳鉄の泡欠陥対策に関する研究」について発表していただきました。
ホーローは、鉄などの金属にガラス質の物質を高熱で焼き付ける技術で、耐蝕・耐熱性に優れ、光沢のある製品を作ることができます。
しかし、鋳鉄にホーロー処理を行った場合、表面に細かい泡が生じて表面が滑らかに仕上がらない「泡欠陥」が発生することがあります。
及川氏はこの泡欠陥の原因を、鋳鉄の表面組織との関係に着目して研究し、泡欠陥の原因となる黒鉛組織、泡欠陥の抑制に効果のある添加物を実験の積み重ねによって解明しました。
講演会の後は祝賀会を行い、多くの同業の方々で及川氏をお祝いしました。
及川氏は岩手大学の指導者や鋳物関係者に感謝の言葉を伝え「この研究によって南部鉄器の商品構成の幅が広がり、地域の産業振興に寄与できれば嬉しい。博士号を取得したとはいえ、今はまだ車のドライバーで言えば若葉マークなので、これから成長していく姿を見せることが皆さんへのお返しになると思っている」と語られていました。