12月10日(火)に、令和元年度いわて鋳造研究会第2回中間報告会を開催いたしました。
第2回中間報告会では、各会員企業が、設定した研究課題に関するここまでの進捗状況、行った実験の結果や3月までの予定等について報告し、活発な質疑応答が行われました。
今後は、各会員企業が技術アドバイザーの指導を受けながら、3月の成果発表会に向けて研究のまとめに取り組んでいきます。
発表内容 | 企業 | |
1. | 片状黒鉛鋳鉄の黒鉛形状に及ぼす要因の検討 | ㈱及精鋳造所 |
2. | FC250 保安部品の不良対策 | 岩手鋳機工業㈱ |
3. | 球状黒鉛鋳鉄のひけ性に及ぼすZrとAlの影響 | ㈱水沢鋳工所 |
4. | 強度不足不適合の原因調査 | ㈲前田合金鋳造所 |
5. | 押し湯方案の最適化 | ㈲前田鋳工所 |
6. | 高マンガン高強度片状黒鉛鋳鉄における肉厚感受性 | ㈱根岸工業所 |
7. | 冷し金の性質調査 | 岩手製鉄㈱ |
特別講演会 | 講師 |
ザク巣など鋳造欠陥の正体とその対策 ~効率的な不良対策を目指して~ |
竹本義明氏 (TCT Casting Technologies 代表) |
中間報告会の後は、TCT Casting Technologies 代表の竹本義明氏を講師に迎え、特別講演会を開催いたしました。
ダクタイル鋳物内部に生じる「ザク巣」は、加工後に発見されることも多い厄介な鋳造欠陥です。通常は押湯など引け巣用の対策を講じることで防ぐことができますが、複雑形状の鋳物だと、それだけでは直らないものもあります。
そのような場合は、そもそもザク巣状の欠陥を全て「引け巣」と判断して対処しているのに問題があるのではないかと考え、電子顕微鏡FE-EPMAを用いた「被膜観察法」で欠陥生成過程を詳細に分析し、欠陥生成の「真の原因」を明らかにすることで、より効率的な対策法を見つけ出したという研究について、ご講演していただきました。
電子顕微鏡画像を用いて、被膜の生成や気泡の巻き込みの様子をわかりやすくご説明いただいたり、実際にザク巣の出た鋳物の対策事例もご紹介していただきました。その中で、従来の押湯や冷金はいわば「臭い物に蓋をする」的な対処法でもあるので、本来はその「臭い物=真の原因」を突き止めて無くすことこそが大事なのではないかと語られていました。
また、竹本顧問は以前、岩手大学鋳造技術研究センターの特任教授で、当研究会の技術顧問も務めていただいたため、当研究会のことをよくご存じの方です。久しぶりの再会に会員たちも皆喜び、旧交を温める良い機会となりました。
特別講演会終了後は情報交流会を行いましたが、「伝統的工芸品産業の振興に関し顕著な功労があった個人等」に贈られる「令和元年度 伝統的工芸品産業功労者等 東北経済産業局長表彰」を、岩手県南部鉄器協同組合連合会 元副会長で、会員企業の株式会社及精鋳造所の及川敬会長が受賞されたため、花束をお贈りし皆でお祝いしました。