いわて鋳造研究会

いわて鋳造研究会は、南部鉄器の産地として有名な岩手県奥州市を中心に、産学官連携で活動している鋳物企業の研究グループです。

TEL.0197-51-8666

〒023-0132 岩手県奥州市水沢羽田町字明正131

ニュース

岩手製鉄株式会社がForbes JAPANのSMALL GIANTS AWARDを受賞しました

当研究会会員の岩手製鉄株式会社が

Forbes JAPAN主催のSMALL GIANTS AWARD 2021の

クラフトマンシップ賞を受賞しました。

公式サイトはこちらからどうぞ。

 

この賞は経済雑誌Forbes JAPANが2017年から始めたもので、

創業10年以上、従業員数500人以下で売上高100億円未満の

小規模ながらグローバルに飛躍し

世界を変える“大きな可能性“を秘めた企業に贈られる賞です。

 

岩手製鉄株式会社は

岩手県北上市にある水道部品、半導体部品、印刷機械などの

部品の製造加工を行う会社ですが

長年の経験を生かして2016年よりキッチン用品の製造販売を開始しました。

岩手製鉄株式会社HPはこちらからどうぞ。

キッチン用品販売サイトはこちらからどうぞ。

 

今回はキッチン用品という新規参入が難しいジャンルへの挑戦、

また、企業間取引がメインの企業が

直接消費者へ販売するという新形態の取引に進出したこと、

そして年間1万枚もの売り上げに成長した点が評価されたことにより

受賞に至りました。

 

鋳造工学会誌に会員の(株)及富 菊地章氏のインタビューが掲載されました

公益社団法人日本鋳造工学会が発行している

「鋳造工学」2021年1月号インタビュー「鋳物人」コーナーに

本研究会会員の(株)及富 菊地 章専務取締役が掲載されました。

菊地専務

(株)及富 菊地章 専務取締役

 

内容はこちらから→(株)及富 菊地専務インタビュー(PDF)

※日本鋳造工学会に掲載許可済み(2021,01,28)

 

また、表紙は鋳造工学会の2020年度Casting of the Year賞に選ばれた

(株)及富の「南部鉄瓶ゴジラ」が飾りました。

鋳造工学2021、1月号表紙

 

ぜひご一読ください。

 

鋳造工学会HPはこちらからどうぞ。

 

 

 

【会員向けお知らせ】令和2年度「岩手大学水沢サテライト鋳造技術研修講座」の受講生募集のご案内

岩手大学鋳造技術研究センター水沢サテライトにおいて

「岩手大学水沢サテライト鋳造技術研修講座「鋳造技術基礎研修講座」」を開催します。

 

内容は鋳造の基礎を学ぶものです。

研究会会員以外の企業の方でも受講できます。

経験年数の浅い方や新任者の研修として、

またベテラン技術者の方の復習や知識定着のために受講されてはいかがでしょうか。

 

講義は選択して受講することも可能です。

 

受講希望の方は、2月16日(火)までに

奥州市鋳物技術交流センターへFAXにてお申し込みください。

定員は各回20名、先着順です。

 

1.日時:令和3年2月22日(月)~3月1日(月)18時~19時30分

2.会場奥州市鋳物技術交流センター研修室(奥州市水沢羽田町字明正131番地)

3.対象者鋳造の基礎的知識を学ぶ意欲のある技術者で事業主が推薦する方

4.講義内容鋳造技術基礎研修講座チラシ・申込書を参照ください

5.受講料無料

申込方法【鋳造技術基礎研修講座】受講申込書(下のPDF2枚目)に

        必要事項を記入の上、FAXにてお送りください。

 

詳しい内容と申込書はこちらからどうぞ⇒鋳造技術基礎研修講座チラシ・申込書

 

令和2年度いわて鋳造研究会「中間報告会」・「特別講演会」を開催しました

令和2年12月16日(水)、奥州市鋳物技術交流センター2階第1研修室で

令和2年度いわて鋳造研究会中間報告会を開催しました。

 

今回の中間報告会では7社が研究発表を行う予定でしたが

大雪で3社欠席したため、4社の発表となりました。

 

出席者は会員や顧問、アドバイザーなど約25名でした。

 

     佐藤庄一  会長

 

佐藤庄一会 長は

「働き方改革や人材不足により仕事の中身が変わりつつある。

さらに、アフターコロナに備えなければならない。

様々なことを学び、同業他社と横のつながりを持つなどして

頑張ってもらいたい。」

と会員たちを激励しました。

 

続いて行った発表内容は以下の通りです。

  発表内容 企業
キュポラ操業時における高温出湯の安定化 岩手鋳機工業㈱
鋳物不良の改善に関わる作業方法の調査 ㈱及精鋳造所
球状黒鉛鋳鉄の伸びとひけ性に及ぼすZrとAlの影響※欠席 ㈱水沢鋳工所
動作分析による工程改善※欠席 ㈲前田鋳工所
耐熱コーティング剤 冷し効果の検証※欠席 ㈲前田合金鋳造所
社内不良率の低減【自動造型機:SM50V(縦込め)】 (株)シグマ製作所
冷し金の性質調査 岩手製鉄(株)

 

発表の様子

 

発表時間は10分、質疑応答時間は5分と短い時間でしたが

不良対策、品質向上、業務改善などの内容で各社発表を行い、

今後の研究に役立つ熱い議論が交わされました。

 

各社からの発表の後、総評として岩手大学 名誉教授 堀江皓 先生から

「会社のための研究ではあるが、課題を解決することで

従業員や地域貢献にもなる。

研究した結果を発表し、企業内に周知する。

さらには学会発表や論文にまとめてほしい。」

との言葉をいただきました。

 

岩手大学 教授 平塚貞人 先生

 

続いて、岩手大学 教授 平塚貞人 先生に

“最近の鋳造技術と鋳物業界動向”

というテーマで特別講演をしていただきました。

 

最近10年間、鋳鉄関係はほとんど新たな動きはないとしつつも、

国内企業の研究開発、全国の研究活動事例、産学連携、岩手大学における研究など

広い内容でお話しくださいました。

 

各社とも、引き続き研究を続けることにしています。

次回いわて鋳造研究会の中間報告会は3月の予定です。

 

第4回会員企業工場見学(株式会社及富)を行いました

令和2年11月11日(水)、第4回会員企業見学会として

株式会社及富へ行ってきました。

 

株式会社及富HPは こちら からどうぞ。

※写真は(株)及富オンラインショップよりお借りしました。

 

株式会社及富は嘉永元年(1848年)創業の伝統ある南部鉄器工場で

・鉄瓶、急

・風鈴

・鉄鍋

などの製造販売をしています。

 

今回参加したのは4社と岩手大学関係、および事務局の計11名でした。

 

初めにいわて鋳造研究会 佐藤庄一会長が挨拶をし、

その後及富の菊地海人アートディレクターに

工場の中を案内していただきました。

及富の菊地アートディレクターから説明を受ける参加者たち

 

及富の最近発売した商品の中で、

もっとも反響が大きかった「南部鉄玉 アマビエ」は

開発から販売開始までなんと2週間で行ったそう。

菊地アートディレクターは

「デザイン、型作りから鋳造、仕上げ、発送まで

すべて自社で行えるからできること。」とおっしゃっていました。

 

及富では南部鉄器の新しいジャンルとして

音楽の分野に注目しており、

エレキギターのエフェクター(音質を変える機械)を共同開発している

合同会社 福嶋圭次郎の福嶋圭次郎代表取締役からも

話を聞くことができました。

電機部品の入っている箱を南部鉄器で作ると

重厚感があるとても良い音が鳴るそうで

参加者一同とても驚きました。

 

合同会社福嶋圭次郎(kgr harmony)HPはこちらからどうぞ。

福嶋代表取締役の説明を聞く参加者たち

 

技術的なもの、南部鉄器のこれからについてなど

広い内容について質疑応答をし、

最後に参加者代表として水田鋳造所 水田和博代表取締役社長から

お礼の言葉をお伝えし工場見学は終了しました。

参加者全員で集合写真

 

故 及川勝比古氏が日本鋳造協会 協会功労賞を受賞しました

当研究会会員の

株式会社水沢鋳工所の故 及川勝比古前代表取締役社長が

日本鋳造協会の2020年度協会賞の協会功労賞を受賞しました。

 

この賞は日本鋳造協会が毎年、

多年にわたり協会の事業運営並びに組織強化などに

特別の功労をした方へ送っているものです。

 

故 及川氏の受賞は水沢鋳物工業組合の前理事長としての

実績を評価されたものです。

 

功績に対し敬意を表します。

 

くわしくはこちら(日本鋳造協会HP)からどうぞ

 

第41回南部鉄器まつりをオンラインで開催します

 

 

2020年11月21日(土)~23日(月・祝)の3日間、

オンラインで「第41回奥州市南部鉄器まつり」が開催されます。

 

毎年秋に開催していた南部鉄器まつりですが

新型コロナウイルス感染拡大防止のため

奥州市鋳物技術交流センターでの開催は中止ととなり

その代わりにオンライン販売を中心に開催することになりました。

 

今年のテーマは

”元気の輪をつなげる南部鉄器~新時代へ伝統工芸の新たな挑戦開始!~”。

そんな思いを込めて今年限りの南部鉄器を5割引き販売します。

 

南部鉄器まつりには当研究会会員の

(株)及精鋳造所

(有)及春鋳造所

も出店しています。

ぜひご参加ください。

 

●南部鉄器について知りたい方は⇒水沢鋳物工業協同組合HPまたはまいにち鉄器を検索

 ※南部鉄器まつり特設ページへは水沢鋳物工業組合HPバナーからどうぞ。

 

●南部鉄器を購入したい(通常価格)方は⇒水沢鋳物工業協同組合【オンラインショップ】

 

 

 

(株)及富がCasting Of The Year2020を受賞しました

当研究会会員の(株)及富が”Casting Of The Year2020”を受賞しました。

Casting Of The Yearは日本鋳造工学会が2012年に創設した賞で、

製 品(部品)として、新たな形状・寸法(設変を含む)あるいは

新材質、新プロセスによって製造販売された鋳物の内から、

優秀鋳物製品(部品)を毎年2,3件選定して授与しています。

 

 

    受賞した「南部鉄瓶ゴジラ」

 

今回、受賞したのは「南部鉄瓶ゴジラ」。

映画「ゴジラ」シリーズに出演していた俳優 宝田 明氏の

芸能生活65周年を記念して作られました。

この「南部鉄瓶ゴジラ」は従来の木型を使う鉄瓶とは違い

”ロストワックス法”を使うことで

伝統技術を守りつつ斬新な形状の鉄瓶を作った点で

評価されました。

 

          表彰式の様子

 

表彰式には、日本鋳造工学会 清水一道会長(室蘭工業大学教授)が

同社を訪れ、及川一郎社長へ表彰状と盾を手渡しました。

及川社長は

「今までいろいろな商品を作って来たが、

このような名誉ある賞をいただき、社員の励みにもなる。」

と語りました。

また、同社の菊地章専務は

「(南部鉄瓶ゴジラは)何度も試行錯誤を重ねて完成した作品。

地域の子供たちにこの町にもびっくりするような夢のあるものを

作っている大人がいることを知ってほしい。」

と願っていました。

 

      左から清水会長、及川社長、菊地専務

 

(株)及精鋳造所の技術報告が学会誌に掲載されました

公益社団法人日本鋳造工学会で発行している

「鋳造工学」9月号(第92巻(2020)第9号)に

本研究会所属の(株)及精鋳造所の細川光さん、及川敬一さん、

技術顧問の岩手大学の小綿利憲特任教授、平塚貞人教授による技術報告が掲載されました。

 

テーマは

『高CE値をもつ南部鉄器製造溶湯へのSb,Mn添加による機械部品製造技術の開発』

です。

 

この報告は、鋳造工学会の令和元年度の技術賞を受賞した内容をまとめたものとのことです。

ご興味がある方は鋳造工学会誌第92巻(2020)第9号をご覧ください。

 

 

令和元年度成果報告会を行いました

令和2年8月26日(水)、奥州市鋳物技術交流センター2階第1研修室で

令和元年度いわて鋳造研究会成果発表会を開催しました。

 

成果発表会は毎年6月に行っていましたが

新型コロナウィルスの影響で延期となっていました。

 

また、例年9月には中間報告会を行っていますが

時期が近くなってしまったため

今回はそれも併せた内容で行いました。

 

   

挨拶をする佐藤 庄一会長

 

出席者は会員や顧問、アドバイザーなど約30名。

 

佐藤庄一会長は

「新型コロナウィルスの影響で経済の先行きが不透明ではあるが

企業として生き残るためには品質が大事。

研究をすることで品質を上げ、生き残れる会社を目指そう。」

と会員たちを激励しました。

 

続いて行った発表内容は以下の通りです。

  発表内容 企業
1. FC250保安部品の不良対策 岩手鋳機工業㈱
2. 製品情報の見える化 ㈱水沢鋳工所
3.

Mn含有量の異なる片状黒鉛鋳鉄のチル化傾向と機械的性質に及ぼす炭素当量及び冷却速度の影響

㈱根岸工業所
4. 押し湯方案の最適化 ㈲前田鋳工所
5. 強度不足不適合の原因調査 ㈲前田合金鋳造所
6. 冷し金の性質調査 岩手製鉄㈱
7. 片状黒鉛鋳鉄の黒鉛形状に及ぼす要因の検討 ㈱及精鋳造所

 

質疑応答の様子

 

発表時間は10分、質疑応答時間は5分と短い時間でしたが

不良対策、品質向上、業務改善などの内容で各社発表を行い、

熱い議論が交わされました。

 

発表の中にはこの研究会で取り組んだことで

設計の問題が明らかになり不利益を回避できた案件なども紹介され

意義のある研究会であることが実感できました。

 

岩手大学 教授 平塚 貞人先生

 

発表の最後に岩手大学の平塚 貞人教授より

各社の研究内容に対して学術的視点からのアドバイスや知見、

研究会全体の内容について総評をいただきました。

 

科学技術振興機構 佐藤 利雄 氏

 

岩手大学 客員教授 堀江 皓 先生

 

その他、科学技術振興機構の佐藤利雄氏より

「T-MJSNTの活動について~T-MJSNTの参加機関は東北経産局、東北総合通信局(SCOPE)、NICT,NEDO,JST,中小機構東北本部で活動~」と題して補助制度の説明を、

岩手大学客員教授の堀江 皓先生から

「日本鋳造協会人材育成事業「鋳造カレッジ」の紹介と「東北地区鋳造カレッジ」開催予定」と題して来年度予定している人材育成事業の紹介をしていただきました。

 

各社とも、本年度も研究を続けることにしています。

次回いわて鋳造研究会の中間報告会は12月の予定です。

 

第3回会員企業工場見学(株式会社シグマ製作所)を行いました

令和2年8月6日(木)、第3回会員企業工場見学会として

株式会社シグマ製作所花泉工場へ行ってきました。

※写真はシグマ製作所HPよりお借りしました。

 

シグマ製作所は本社を埼玉県川口市に置く企業で

・建設機械部品鋳物

・油圧機械部品鋳物

・一般機械用高級鋳鉄

などをねずみ鋳鉄や球状黒鉛鋳鉄で製造しています。

 

花泉工場は社員数45名(うち女性3名)。

造型機3台、高周波誘導炉1tを2基保有し、

溶解造型から仕上げ、分析まで行っています。

工場内はとてもきれいで、

高い精度が必要とされる部品も

製造しているとのことでした。

興味津々の参加者たち

 

この工場見学は当初3月に実施を計画していましたが

新型コロナウィルスの感染防止の観点から延期していたものです

 

今回参加したのは8社と事務局、計19名でした。

 

はじめに佐藤会長から挨拶を、

続けてシグマ製作所大庭代表取締役から

会社と工場の説明をしていただき、

2班に分かれて工場見学をしました。

 

30℃を超える暑さの中での工場見学でしたが、

参加者は見学中及び見学後の質疑応答時間にも活発に質問や意見を述べ

また、シグマ製作所の皆様にも親切にお答えいただきました。

 

最後に岩手大学山田特任教授よりコメントをいただき締めくくりました。

 

今回の工場見学も大変意義のあるものとなりました。

参加者全員で集合写真

鋳造工学会誌に会員の及川敬一氏のインタビューが掲載されました

公益社団法人日本鋳造工学会が発行している

「鋳造工学」2020年3月号インタビュー鋳物人コーナーに

本研究会会員の(株)及精鋳造所 及川敬一代表取締役社長が掲載されました。

ぜひご一読ください。

 

内容はこちらから→インタビュー鋳物人及川敬一

※日本鋳造工学会に掲載許可済み(2020,04,16)

 

令和元年度いわて鋳造研究会第2回中間報告会を行いました。

 12月10日(火)に、令和元年度いわて鋳造研究会第2回中間報告会を開催いたしました。

 

 第2回中間報告会では、各会員企業が、設定した研究課題に関するここまでの進捗状況、行った実験の結果や3月までの予定等について報告し、活発な質疑応答が行われました。
 今後は、各会員企業が技術アドバイザーの指導を受けながら、3月の成果発表会に向けて研究のまとめに取り組んでいきます。

 

  発表内容 企業
1. 片状黒鉛鋳鉄の黒鉛形状に及ぼす要因の検討 ㈱及精鋳造所
2. FC250 保安部品の不良対策 岩手鋳機工業㈱
3. 球状黒鉛鋳鉄のひけ性に及ぼすZrとAlの影響 ㈱水沢鋳工所
4. 強度不足不適合の原因調査 ㈲前田合金鋳造所
5. 押し湯方案の最適化 ㈲前田鋳工所
6. 高マンガン高強度片状黒鉛鋳鉄における肉厚感受性 ㈱根岸工業所
7. 冷し金の性質調査 岩手製鉄㈱

 

特別講演会 講師
ザク巣など鋳造欠陥の正体とその対策
  ~効率的な不良対策を目指して~
竹本義明氏
(TCT Casting Technologies 代表)

 

 中間報告会の後は、TCT Casting Technologies 代表の竹本義明氏を講師に迎え、特別講演会を開催いたしました。
 ダクタイル鋳物内部に生じる「ザク巣」は、加工後に発見されることも多い厄介な鋳造欠陥です。通常は押湯など引け巣用の対策を講じることで防ぐことができますが、複雑形状の鋳物だと、それだけでは直らないものもあります。
 そのような場合は、そもそもザク巣状の欠陥を全て「引け巣」と判断して対処しているのに問題があるのではないかと考え、電子顕微鏡FE-EPMAを用いた「被膜観察法」で欠陥生成過程を詳細に分析し、欠陥生成の「真の原因」を明らかにすることで、より効率的な対策法を見つけ出したという研究について、ご講演していただきました。
 電子顕微鏡画像を用いて、被膜の生成や気泡の巻き込みの様子をわかりやすくご説明いただいたり、実際にザク巣の出た鋳物の対策事例もご紹介していただきました。その中で、従来の押湯や冷金はいわば「臭い物に蓋をする」的な対処法でもあるので、本来はその「臭い物=真の原因」を突き止めて無くすことこそが大事なのではないかと語られていました。
 また、竹本顧問は以前、岩手大学鋳造技術研究センターの特任教授で、当研究会の技術顧問も務めていただいたため、当研究会のことをよくご存じの方です。久しぶりの再会に会員たちも皆喜び、旧交を温める良い機会となりました。

 特別講演会終了後は情報交流会を行いましたが、「伝統的工芸品産業の振興に関し顕著な功労があった個人等」に贈られる「令和元年度 伝統的工芸品産業功労者等 東北経済産業局長表彰」を、岩手県南部鉄器協同組合連合会 元副会長で、会員企業の株式会社及精鋳造所の及川敬会長が受賞されたため、花束をお贈りし皆でお祝いしました。

 

第2回会員企業工場見学会(㈲三協金属)を行いました。

 11月13日(水)に、第2回会員企業工場見学会を開催いたしました。

 

 

 

 今回の見学先は有限会社三協金属で、参加者は17人でした。

 こちらは一関市花泉町にあり、機械鋳物と工芸鋳物の両方を製造している企業です。

 

 三協金属では、造型及び注湯に「ラクラクハンド」というハンドクレーンを利用して作業者の負担を減らす工夫や、砂型を台車で運ぶことで工場の限られたスペースを有効活用する工夫などがされており、参加者も皆興味深くそれらの工程を見学していました。

 また、三協金属では造型・溶解・仕上げ等を完全に分業せず、各作業者が状況に応じて複数の工程に関わる多能工化が進んでいました。

 小岩社長は、これによって作業者の鋳物への教養が深まると共に視野が広がり、フォローの必要なときには人がすぐに来るなど作業者同士の連携も良くなったと語られていました。

 また、終了後のアンケートでも様々な意見が出され、受入企業へと伝えられました。

令和元年度いわて鋳造研究会第1回中間報告会を行いました。

 9月12日(木)に、令和元年度いわて鋳造研究会第1回中間報告会を開催いたしました。

 

 第1回中間報告会では、今年度の研究テーマの内容やここまでの進捗状況について報告が行われ、活発な質疑応答が行われました。
 今後は、各社が技術アドバイザーの指導を受けながら、12月の第2回中間報告会、そして3月の成果発表会を目指して研究を進めていきます。

 

  発表内容 企業
1. 球状黒鉛鋳鉄の機械的性質に及ぼすアンチモン添加の影響 ㈱及精鋳造所
2. FC250 保安部品の不良対策 岩手鋳機工業㈱
3. 球状黒鉛鋳鉄のひけ性に及ぼすZrとAlの影響 ㈱水沢鋳工所
4. 塗型の乾燥状態による銅合金金属組織への影響 ㈲前田合金鋳造所
5. 押し湯方案の最適化 ㈲前田鋳工所
6. 高マンガン高強度片状黒鉛鋳鉄における肉厚感受性 ㈱根岸工業所
7. 冷し金の性質調査 岩手製鉄㈱
8. 原点に返ったものづくりと消費者視点での性能向上に沿った研究開発の実施 ㈱及富

 

特別講演会 講師
金属積層造形について 黒須信吾氏
(岩手県工業技術センター 素形材プロセス技術部 主任専門研究員)

 

 中間報告会の後は、岩手県工業技術センター主任専門研究員の黒須信吾氏を講師に迎え、特別講演会を開催いたしました。
 まず、3Dプリント技術はものづくりの分類で「付加加工」に当たり、1990年代には「試作ツール(Rapid Prototyping, RP)」として注目されていたのが、現在では「製造ツール(Additive Manufacturing, AM)」として広く用いられるまでに発展してきた、といった概観のところから丁寧にご説明していただきました。
 次に、AM技術の分類とそれぞれの特徴や、岩手県工業技術センターの保有する「レーザービーム積層造形装置」「電子ビーム積層造形装置」という2種類の金属積層造形装置について、装置スペックや製造工程を比較しながらわかりやすくご説明していただきました。また、過去の共同研究で、金属粉末積層造形により高機能化した鉄瓶の例などもご紹介していただきました。
 そして、従来加工技術(鋳造・機械加工)と比較した金属積層造形のメリット・デメリット、ものづくりに金属積層造形をうまく取り入れ、活用していくためのポイントについてもお話ししていただきました。
 現状では、金属積層造形法は限られた分野の製品(高付加価値製品)での適応で、一般工業製品にも同じように適応していくのは極めて難しいが、装置や材料、ソフトウェアなどの開発・研究は確実に進歩しているので、現状を理解した上で多くの人が知恵を出し合ってアイディアを創生し、研究や実験で育てていくことが必要である、と語られていました。

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 水沢鋳物工業協同組合前理事長で、当研究会前副会長である及川勝比古氏が、報告会当日の早朝にご逝去されました。

 当研究会の発展にご尽力された故人のご冥福を祈り、開会前に出席者全員で黙祷を捧げました。

第1回会員企業工場見学会(㈱根岸工業所)を行いました。

 当研究会では、今年度から「会員企業工場見学会」を始めることとなりました。

 

 これは、会員同士であっても、意外とお互いの工場の中を見る機会がなかったり、作業環境や作業標準をどのように定めているのかよく知らないという意見があったためです。

「見学受入企業の準備や負担をなるべく減らす」

「通常の工場見学よりも細かいところまで見て、何でも気軽に質問できるようにする」

「普段工場見学をする機会の少ない現場の作業者も参加しやすい形式にする」

「見学後はアンケートを取り、見学受入企業にも意見をフィードバックする」

という内容で、今後会員企業の持ち回りで行っていく予定です。

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 第1回となる今回は、7月8日(月)に株式会社根岸工業所を見学先として行いました。

 株式会社根岸工業所では機械鋳物を製造しており、鋳造工場の他に加工や塗装の工場も保有しているため、素材だけではなく加工付きの仕事も多く受注しています。

 参加者は25人で、4班に分けて鋳造・仕上げ・加工・塗装の4か所を順番に回るという形で行いました。

 見学後に再び集合して質疑応答の時間を設けましたが、見学している間も参加者各自が活発に質問や意見を述べており、皆大いに得るもののある工場見学となったようでした。

 また、終了後のアンケートでも様々な意見が出され、受入企業へと伝えられました。

令和元年度いわて鋳造研究会総会を行いました。

 6月17日(月)に、令和元年度いわて鋳造研究会総会を開催いたしました。

 

 

 

議事
承認第1号 平成30年度いわて鋳造研究会事業報告について
承認第2号 平成30年度いわて鋳造研究会収支決算報告について
  監査報告
議案第1号 令和元年度いわて鋳造研究会事業計画(案)について
議案第2号 令和元年度いわて鋳造研究会収支予算(案)について
議案第3号 役員の選出について
  その他

 

特別講演会 講師
鋳鉄製造工程管理の重要性と鋳造設備の予知保全 山田聡氏
(国立大学法人岩手大学 特任教授)

 

 総会は滞りなく進行し、平成30年度事業報告・収支決算報告及び、令和元年度事業計画(案)・収支予算(案)が無事承認、可決されました。

 また、今年度は任期満了に伴う役員改選が行われました。
佐藤庄一会長他4名は再任となった一方で、副会長では株式会社及精鋳造所の及川敬一代表取締役社長、幹事では株式会社水沢鋳工所の小野寺雄二課長、会計監事では有限会社前田合金鋳造所の前田亮一代表取締役社長が新たに加わった役員体制となりました。

(令和元年度 新役員)
会 長  佐藤 庄一  ㈱根岸工業所
副会長  及川 和也  ㈲筑摩水沢
副会長  及川 敬一  ㈱及精鋳造所
幹 事  前田 俊一  ㈲前田鋳工所
幹 事  狩野 和寿  岩手鋳機工業㈱
幹 事  及川 春樹  ㈲及春鋳造所
幹 事  小野寺 雄二 ㈱水沢鋳工所
会計監事 前田 亮一  ㈲前田合金鋳造所

 総会の後は、今年度から当研究会の技術顧問にお迎えした岩手大学の山田聡特任教授による、特別講演会を開催いたしました。
 山田特任教授は、定年退職されるまで株式会社アイメタルテクノロジー(現IJTテクノロジーホールディングス株式会社)に勤めておられましたが、まず最初に会社での職務内容や取り組んだ技術課題についてご紹介していただきました。
 そして次に、今回の主題である「工程管理」と「設備保全」について、基本的な考え方から高度な「予知保全」に至るまで、丁寧にご教授いただきました。
 不良対策は生産現場や工場を見直す絶好の機会であるため、その場限りで終わらせずにしっかり突き詰めて考えれば、他の製品でもその知見を生かすことができたり、工程の管理値そのものの見直しや設備改善の段階まで発展させることもできます。そのため、毎日小さな改善を積み重ねていくことが大事であると語られていました。

 特別講演会終了後には情報交流会を行い、講演で聞けなかった話や意見を交換しながら、親睦を深めました。

 新年号「令和」の時代を迎え、いわて鋳造研究会も更に活動を進めて参ります。よろしくお願いいたします。

本研究会会員が、日本鋳造工学会の技術賞、日下賞、現場技術改善優秀賞を受賞しました。

 去る5月18日に千葉工業大学で行われた、日本鋳造工学会第173回全国講演大会において、㈱及精鋳造所 及川敬一氏、細川光氏が「技術賞」を、㈱水沢鋳工所 田村直人氏が「日下賞」を、㈱及精鋳造所 サークル「吉見塾2018」が「現場技術改善優秀賞」を、それぞれ受賞いたしました。

○技術賞
 (鋳造に関する材料、技術、設備などの独創的な開発に貢献し、顕著な業績を挙げた人物に与えられる賞)
 受賞者: 株式会社及精鋳造所 及川敬一氏、細川光氏
 受賞内容:「南部鉄器製造溶湯(高CE値)へのアンチモン(Sb)添加による機械部品製造技術の開発」

○日下賞
(鋳造に関する学問及び技術の進歩、向上あるいは本学会の発展に将来大きく寄与されると考えられる新進気鋭の人物に与えられる賞)
 受賞者: 株式会社水沢鋳工所 田村直人氏
 受賞内容:「高強度軽量球状黒鉛鋳鉄製鋳造品の研究開発」

○現場技術改善優秀賞
(各職場の生産工程における様々な技術改善の中で特に優れたものに与えられる賞)
 受賞者: 株式会社及精鋳造所 サークル「吉見塾2018」
      (細川光氏、千田和斗氏、千葉紘映氏、佐藤良氏、菊池直己氏)
 受賞内容:「生型ラインでのFC製カバーの押込み不良低減対策」

           

 

 

当研究会の技術顧問として、岩手大学の山田聡特任教授をお迎えしました。

 今年度から、岩手大学鋳造技術研究センター 水沢サテライトの山田聡特任教授を、当研究会の技術顧問としてお迎えしました。
 山田特任教授は、株式会社アイメタルテクノロジー(現IJTテクノロジーホールディングス株式会社)で研究開発部長、工場長、開発部門統括などを歴任された方です。
 昨年度で株式会社アイメタルテクノロジーを定年退職された後、岩手大学鋳造技術研究センター 水沢サテライトの特任教授に着任され、当研究会の技術顧問としてお迎えすることとなりました。

平成30年度いわて鋳造研究会成果発表会を行いました。

 3月18日(月)に、平成30年度いわて鋳造研究会成果発表会を開催いたしました。

 

 

 成果発表会では、この一年間の研究成果について各会員企業が報告、若手技術者を中心に活発な質疑応答や議論が行われました。

 

  発表内容 会員企業
1. 球状黒鉛鋳鉄の機械的性質に及ぼすアンチモン添加の影響 ㈱及精鋳造所
2. 1カップ熱分析法による球状黒鉛鋳鉄用接種剤の選定 ㈱水沢鋳工所
3. 片状黒鉛鋳鉄に及ぼす窒素の影響 ㈱根岸工業所
4. 鋳造現場におけるアルミニウム合金溶湯品質の調査方法確立 ㈲前田合金鋳造所
5. コールドボックス法から有機CO2ガス法への変更 ㈲佐酉
6. 超音波探傷機による球状化率の判定 ㈲前田鋳工所
7. 生型鋳物砂組成を安定化させるための管理方法の検討 岩手鋳機工業㈱
8. 自硬性鋳型に使用する金枠の強度及び構造の検討 岩手製鉄㈱
9. 3D技術を活用した鉄瓶ZAKU商品開発秘話 ㈱及富

 

 発表後には、岩手大学の小綿利憲特任教授に総評をしていただきました。
 各会員企業の発表について講評していただいた後、「将来、研究会の20周年記念誌に載せたり、学会誌に投稿することができるように、ぜひ発表を文章の形でも残してほしい」と話されていました。
 また、「研究会は参加企業のための会であり、今後もそれぞれの企業のためになる研究を積極的にしてほしい」と激励をいただきました。

 

特別講演会 講師
もうひとつの鋳鉄 麻生節夫氏
(国立大学法人秋田大学大学院 理工学研究科
   物質科学専攻 材料理工学コース 教授)

 

 成果発表会の後は、国立大学法人秋田大学の麻生節夫教授を講師に迎え、特別講演会を開催いたしました。
 始めに麻生教授のこれまでのご経歴について、その後は主に専門分野である「白鋳鉄」についてのご講演をしていただきました。
 鋳鉄の中での白鋳鉄の分類、機械部品に使われる高クロム白鋳鉄の特徴と機械的性質、麻生教授のこれまで行ってきた共同研究などの内容をお話しされました。
 また、麻生教授は今年度で秋田大学を定年退職されますが、来年度からは岩手大学鋳造技術研究センター 水沢サテライトの客員教授に着任され、当研究会の技術顧問として、これからお世話になることになります。

 特別講演会終了後は情報交流会を行いましたが、当研究会の技術顧問として5年間にわたりお世話になった岩手大学の中澤友一特任教授が、今年度で任期満了につき退職されるということで、花束を贈り、退任のごあいさつをいただきました。
 
 今年度は、日本鋳造工学会東北支部大会への開催協力、会員の大平賞受賞など、東北の中で当研究会の存在感を発揮することのできた一年となりました。
 来年度も、いわて鋳造研究会をよろしくお願いいたします。